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隠岐・大山国立公園旅行記 その2『夕陽を見て、後醍醐天皇を思う』


ローソク岩を見た後は、一応本日の予定コースを終え、少し早いのですが、今夜の宿である民宿「味冨」に着きました。

ここの住所は隠岐郡五箇村北方です。それが市町村合併により「隠岐の島町」になりました。


 

この民宿味冨を選んだ理由の一つに、隠岐温泉が道路を挟んで向かいにあるからです。

この隠岐温泉は天然風呂ということです。隠岐の島で天然風呂はここだけという売りに決めました。

民宿のご主人が、温泉の入場券をくれましたので、これを持って下駄を履いて、カラカラいわせながら向かいの温泉に行きました。


まだ陽は沈んでいなく、周りは明るく、周囲を見ればぐるりと田んぼに囲まれた温泉でした。

お風呂はぬるっとした天然の鉱物を含んだような感じでした。天然であることは納得しました。

タイルや手摺にも天然の鉱物から出る着色が残っていて、これも天然温泉の証しとなります。


お風呂から上がると、夕日が綺麗でした。今日はきれいな夕焼けになりそうです。

 

さてお楽しみの夕食です。

今回、ホテルを避けて民宿を選んだのは、テレビの影響からです。

全国を回る民宿での「旅の宿」では、いつも地元の食材を使った郷土料理がテーブルに並び、芸能人のレポーターは、感動の舌鼓を打っているのを思い出したからです。


特に期待できるのは、漁師さんが経営している民宿の宿です。

さっき、沖から釣ってきたばかりの魚を女将さんが大急ぎでおろし、舟盛りに飾り付けてどーんとテーブルに届くことを期待していました。

松葉博雄の箸は迷いに迷って、どの魚から、どのお料理から手をつけようかと、迷い箸が夢の中にあります。

しかし、現実はテレビのようにはいきません。

あれは、テレビ局が後ろに付いていて、事前にちゃんとレポーターが恥をかかないように準備ができているのではないかと思います。

現実は、漁師の経営する民宿は、ネットで予約を取ってもすぐには取れません。何ヶ月も前から予約で埋まっていて、突然思いついたような無計画な旅行では、無理でした。

出てきたお料理は、焼きサザエ、ハギの煮物、イカの刺身、茶碗蒸し、もずく、野菜の煮しめ等が出てきました。

隠岐の民宿は、春はしゃくなげ、夏は海水浴と牛突き(闘牛)、秋は食べ物が売り物です。

冬になると、海は荒れ、雪は降り、しばらく観光客が止まり、まるで冬眠のようにお休みになると、民宿のご主人が言っていました。


食事をとっていたら、民宿のご主人が「夕陽がきれいに見えるよ」と言うので、外に出てみました。

私の芸術に対する意欲がムクムクと湧いてきて、ご飯の手を止めて、カメラを持って西のほうに向かって構えました。


 

さて、皆様、この出来映えはいかがでしょうか。

沈みゆく初秋の寂しさと、深まりゆく隠岐の島の、冬に向かっていく寂しさが重なり合って、まるで後醍醐天皇が都を思い、寂しさと涙を袂で拭いた、あの「建武の新政」の前夜を連想させる夕陽になるでしょうか。

 

そういえば、ふと目を路地に落とせば、野辺の花も、「天勾践を空しゅうする莫れ 時范螽無きにしも非ず」と児島高徳が言ったことを、思い出させるような花の声を聞きました。