鮎は晩秋には短い生涯の終わりです。命をつなぐ子持鮎

投稿No:7973

鮎釣りもそろそろ終わりです。卵を産んだ鮎は、落ち鮎となって流れていきます。

子持ち鮎

10月も中旬を過ぎると、鮎は一年に満たない短い一生を終えるため、

子孫を残す行動に取りかかっています。

雌の鮎にはお腹いっぱいに卵が入っています。

この子持ち鮎を釣ろうと、揖保川には今日も釣り客が何人か川の中に入っていました。

鮎の成長は川の苔次第

例年のように、宍粟市の「鮎茶屋 正起(しょうき)」に来ました。

友釣り用の鮎を見せて頂くと、やや小ぶりな形なので、発育の状況が良くないのでしょうか?

鮎の成長は住んでいる川の苔の状態に影響されます。

2018年は、何度か大型台風が播磨地方にも襲ってきて、大雨を降らせています。

大雨が降ると川は増水して、川床の形までが変わってしまいます。

少し前迄は、中州があったところも豪雨があれば、大きな岩でも水の力で変えてしまいます。

川床の小さな岩は流されて、鮎が食べる苔が少なくなったのかもしれません。

友釣り用のおとりの鮎

正起でお料理を注文して、料理が出来る迄の待っている時間に、

友釣り用の鮎の生け簀に行ってみると、釣り客が友釣り用のおとりの鮎を購入に来ていました。

正起のご主人は、水槽から10匹ほど元気な鮎を網で掬いだし、ポリバケツに移しました。

この中から釣り客は自分の目で見て気に入った鮎を3匹購入しました。

私が釣り客なら、友釣り用の鮎にどれを選ぶのか、考えながらじっと見ていました。

いずれの鮎も元気そうで、特にこれが良いように見える鮎は、どれなのか分かりません。

釣り客は、自分の手で鮎を捕まえ、感触を確かめて、一匹ずつ選んでいました。

幼い頃の思い出に、鮎は人の手で触ると、すぐに弱って死んでしまうという記憶があります。

こんなに釣り客が一匹ずつ鮎に触っていても、大丈夫かなぁ?と思いました。

水槽の中にカメラが入る

水中カメラで水槽で泳いでいるおとりの鮎を撮ってみました。

鮎はとても神経質な魚です。

カメラを持った手が入ると、鮎はパニック状態になって、逃げまわり隅の方に固まってどこに身を隠そうかと、安全な場所を探していました。

集まる場所は、障害物となるパイプが立っている隅のほうでした。

正起のご主人は、一つの網では鮎をすくい取れないので、二つの鮎を両手で持って一方で待ち受け、他方で鮎を追い込む方法をとって、鮎を網ですくい上げていました。

二つの網で挟まれると、鮎も逃げることができないようです。

鮎の塩焼き

正起の鮎は、上手に焼けていました。

皮も剥がれることなくこんがりと焼けていて、お腹の周りは卵があふれ出そうなほどの膨張具合です。

鮎御膳定食は、鮎の塩焼きと、鮎の甘露焼きがついています。

別の料理方法では、鮎のしゃぶしゃぶもありました。

刺身のように、薄く切った鮎の身を熱湯にくぐらせて頂く食べ方です。

私は鮎の塩焼きが一番美味しいと思います。

家でも食べたいので、持ち帰り用の鮎の塩焼きも別に注文しました。

釣り師の釣果は

気になるのは、揖保川の川に入って鮎の友釣りをしている釣り人の事です。

じっと見ていても、なかなか釣れていません。

友釣りの上手な人は、釣れる場所を選ぶそうです。

どの辺に竿を入れると良く釣れるのか、経験で分かるそうです。

水槽の水は、揖保川の自然水をポンプで引き込んでいる水です。

手で触ると冷たく、ひんやりしていました。

鮎の形はとても綺麗で、水槽で飼いたくなりますが、それは無理なことです。

正起では、目の前の揖保川で釣り上げた鮎を、友釣り用に販売した価格で買い取っています。

上手な釣り人だと、3匹の元の鮎を購入して、20匹ほど鮎を釣り上げると17匹がその日の釣りの釣果になります。

正起に来る度に、生け簀を覗いています。

7月や8月の鮎釣りのシーズンには、正起の生け簀は鮎で溢れていました。

10月の生け簀は、夏に比べると、持ち込まれた鮎が少なく、以前に比べると、随分鮎の数が少ないことが分かりました。

この中から、お客様用の料理に使う鮎を持ち出すので、相当釣り人が沢山持ち込んでくれないと、在庫が少なくなることになります。

晩秋には鮎の短い生涯は終わります

まもなく、鮎釣りも終わりになります。

卵を産んだ鮎は、精魂尽きて死んだような姿で、川の流れに身を任せて、流れ去っていきます。

宙を舞ってる鳥は、空から落ち鮎を狙っています。

わずか1年の短い間に、若鮎から落ち鮎までの短い生涯の終わりです。

2018年10月14日(日)