淡路市北淡町の金崎農園のいちじくは、他の農園のいちじくとどのように差別化しているのでしょうか?調べてみました。

投稿No:7949

金崎農園の金崎真治さんは、眼に見えるレベルの差別化と眼に見えない真似のできない差別化で競争優位を獲得していました。

競争優位と差別化

マイケル・ポーターによって提唱された競争戦略のうちの一つに差別化戦略があります。

ライバルのいちじく農園と比較して、商品としてのイチジクに、どのように味の差異を設けて、競争上の優位性を得ているのかを明らかにするこたが調査の趣旨です。

競争優位を得る差別化には、

①商品・サービスで差別化すると、

②仕組みで差別化する2つの差別化があります。

真似のしにくい差別化とは

淡路島には多くのイチジク農家があります

淡路島北淡町育波の金崎農園では、いちじくが熟れ頃です。

金崎農園のいちじくの差別化は、目に見える、真似のしやすい①の差別化なのか、それとも、

②の目に見えない、真似のできない差別化なのか、調査しました。

私が食べるイチジクは、金崎農園に電話して取り置きしておかないと、人気の良いイチジクなので、どんどん出荷されてしまいます。

金崎真治さんに前もって電話して、取り置きしてもらいました。

雨の日には収獲が出来ないので、いちじくの取り置きをしてもらうのは、晴れの日にお願いしました。

午前中に金崎農園を訪ね、事務所で金崎真治さんに、

「今年のいちじくの出来具合はいかがですか?」と尋ねました。

今年は例年以上に出来栄えがいいようです。

ただ残念なのは、台風が来たため、風でいちじくの蕾がかなり飛ばされたそうです。

淡路市では金崎農園のいちじくは、既にブランドになっています。

他のいちじく農家より少々値段が高くても、美味しいいちじくを求めて注文が続いているようです。

私のブログを読んだ方からも、かなり注文があって、金崎農園の売り上げアップのお役に立っていると言われました。

今日も社長研究室のブログを読んで、金崎農園のいちじくを電話注文する人がいたそうです。

インターネットの効果で差別化できているのは、②の仕組みの差別化と言えます。

土地の生産性の違いを生むレント

金崎農園のいちじくは、他のいちじく農園に比べて、何が違うのでしょうか?

今日はこの味の違いについて、金崎真治さんにいろいろとお尋ねしました。

企業秘密もあるので、全ての美味しい原因を公開するわけにはいかないようですが、企業秘密を知ったからと言って、真似ができないこともあります。

それは、レントと言われる土地の肥沃度です。

土地の肥沃度は、その土地ごとにロケーションによって異なります。

肥沃度を高めるための土地改良も、イチジクを食べてみても、美味しい原因は分からない、②の見えない差別化です。

いちじくを美味しくする為には、まずは土壌改良です。

山の畑と違って、田んぼから転作したいちじく畑は、元々お米を作る土地でした。

それをいちじくに適合する土壌に変えるにはどうしたらいいのか、ここから差別化の研究が始まりました。

北淡町には昔から家で牛を飼う農家が沢山いました。

今では、牛を飼う農家は、ほんのわずかになっていますが、山の方には酪農農家が今でもあります。

酪農農家では、牛の糞を使って堆肥(たいひ)を作っています。

ホームセンターなどでは、ビニール袋入りの牛糞を売っていますが、このような小さなレベルの牛糞ではなく、酪農農家から4トントラックで、有機肥料を購入しているそうです。

その牛糞に、さらに差別化のために、カルシウムを混ぜるそうです。

それは何かと言えば、淡路島の漁業組合から買ってくる、ちりめんじゃこです。

海で獲れたちりめんを沢山買ってきて、牛糞に魚のちりめんを混ぜて、しばらく寝かせて発酵させるそうです。

どのぐらい混ぜて、どのぐらい寝かせるのかも競争優位をえる差別化です。

ちりめんを含んだ牛糞を土俵改良として畑一面に、いちじくの木の根元に元肥として施したそうです。

いちじくの木から30年ぐらいイチジクの実が収穫ができます。

しかし、古木になると木の勢いは衰えます。

そこで、10年を目途に若木を植えて、後継の木を育てるそうです。

若木は一年目から、イチジクの収穫ができます。

科学肥料は使いません。有機肥料を中心に土地に栄養を与えています。

貝殻の粉末が良いのではないかと考えて、牡蠣の収穫した後の牡蠣殻を粉砕して、いちじくの木の根元にも蒔いています。

金崎真治さんとお話しをしていると、お客さんが金崎農園のいちじくは美味しいと言ってもらえるように、あれやこれや幅広く研究している事が分かりました。

幻のいちじくとは

畑に一緒に行って、珍しいいちじくの実を収穫させてもらいました。

金崎真治さんのいう「幻のいちじく」です。

それは、小ぶりですら皮が黒い色をしたイチジクです。

このイチジクは、一般には流通させていません。

特に、黒いちじくを望む方や、縁故者の方にお分けしているそうです。

松葉さんが来るので、今朝は幻の黒イチジクを収穫しないで、イチジクの枝に付けたままにしているので、今から収穫して下さいと案内されました。

いちじくの実は小さくても、甘味はとても強い、美味しい幻のいちじくです。

そっと枝からいちじくの実をつまんで、もぎとって、畑でそのまま食べてみました。

なるほど、とても甘いジューシーないちじくです。

この幻の黒皮いちじくは、なかなか実がつかないそうです。

イチジクの等級

ビワの実の選別と同じように、いちじくの実も自動量り機で選別します。

サイズはS・M・L・2L・3Lと4Lと6段階あります。

そしてそれぞれ出来具合によって、「秀」と「優」に選別されます。

サイズは機械が判別してくれます。

味の方の秀か優は金崎真治さんの目利きにより判別されます。

いちじくは8月のお盆の頃から収獲が始まり、9月にも収獲は続きます。

美味しいのは、これからだそうです。

地方発送もしているので、金崎農園の無花果が欲しい方は、

金崎真治さんの携帯電話090-1595-7021まで直接連絡すると、対応してくれるそうです。

今日は事前予約をしていたので、私が欲しい分量が取り置きされていました。

毎年、淡路島のいちじくを戴いている人は、待ち遠しく、今か今かと待っている頃だと思います。

まとめ

金崎農園が競争優位を得る差別化をしているには

1.眼で見える、美味しい、きれいな目で見える差別化をしていました。

2.さらに、眼でみえない、真似がしにくい土地改良の差別化がありました。

2つのレベルの差別化で、近隣の競争相手に優位に立っていることが明らかになりました。

2018年9月24日(木)