小松弥助さんには、道を究めた人のオーラがあります。北陸加賀 山中温泉(9)

日本一の、寿司名人の小松弥助さんから、直接手渡しで巻物を頂いて、いたく感動し、しばし口に入れることなく、眺めていました。 北陸加賀 山中温泉(9)

小松弥助寿司の評判は、全国的です。

著名人もわざわざ、この金沢に、

弥助寿司を食べる為のみ足を運んでいます。

弥助寿司の弥助さんは、本名は森田一夫さんですが、

あまりにお客様が多くて、

現在では開店時間を11:30~16:00までに制限しています。

カウンターに座っているお客様との会話を聞いていれば、

ほとんどの方はリピーターです。お客様の中には、

どれだけ弥助に通っているかを、

会話の中でアピールしている方もいました。

煮蛤です。甘い醤油だれで頂きます。

カウンター席の皆さんは、誰もがお寿司を口に入れると、

一瞬目を閉じて、深く考えているようにも見えます。

どうだい?美味しいかい?と、弥助の親父さんの念押しもあります。

短い、一言一言のフレーズで、

お客さんとの距離が縮まっているように聞こえます。

ここまで来るまで、どれほどの厳しい、

寿司職人としての修行があったのか分かりませんが、

きっと一つの道を究める為には、

相当な厳しさがあったはずです。

その厳しさが感じられないほど、

目には優しさがあります。

お客さんは、弥助のご主人に

声をかけてもらうのが嬉しいように見えます。

松葉博雄の事は、先に名刺を渡して、自己紹介をしました。

そうでもしなければ、あまりに熱心に料理の技を見ていたり、

根掘り葉掘り質問をすると、この人、

どこの料理人かいなぁ?と、見られるかもしれません。

お客さんのお腹の満腹具合と、懐具合もあるので、

弥助のご主人は、次のステップに進むか、

さりげなく会話の中で、お客さんの意志を確認しながら進みます。

一通りおまかせが終わると、オプションに入ります。

松葉博雄の奧さんは、

ウナギとキュウリの巻を注文しました。

弥助さんはにっこり笑って、

コンロのウナギを取り出し、

きゅうりと一緒に巻いて、奧さんに渡してくれました。

この時も一言あります。美味しいよ。と、客との会話です。

奧さんは、寿司名人の弥助さんから、

直接手渡しで巻物を頂いて、いたく感動し、

しばし口に入れることなく、眺めていました。

こはだをお願いしました。こはだは、

予想以上に小さなこはだで、

丁寧な包丁さばきで二枚に下ろされていました。

穴子は、ゆずをおろし金ですって、

茶道具の茶筅を使って、ゆずの粉を穴子に振りかけています。

実に芸の細かい味付けです。

これに塩を振りかけて、そのまま頂きます。

ウニの握りは、これまでのウニなら、

しゃりを海苔で巻いて、丸い海苔の空間に、

箱のウニを乗せる、こんなウニの握りを食べてきましたが、

弥助のウニの握りには、海苔でウニを

ガードするような細工はしていません。

しゃりを小さく握り、その上に、

まるできな粉を乗せておはぎを作るように、

しゃりとウニの境界がはっきりしていません。

手を使って、こぼれないように掴まないと、

崩れてしまいそうな柔らかさです。

これもうまいよと、出されたのはネギトロです。

弥助のネギトロの作り方は、

上等なトロをまな板の上でたたいて小さくし、

そこに白ネギを細く切った、

白髪ネギを一緒にしています。

海苔の香りの良いのも、相当な選ばれた海苔です。

海苔の香りで包まれたネギトロは、

弥助の親父さんが目で笑った意味を、口の中で知らされます。

オプションは、客席の皆さんがそれぞれの好みを注文するので、

これまでのおまかせのように、

はじめと終わりが一巡するような寿司ネタではありません。

それを、メモ用紙もなしに、

次から次へとオプションの寿司を握っていきます。

2時間足らずの初めての小松弥助寿司でした。

この間、回遊魚がこちらにやってきたとき、

捕まえようとするように、

弥助名人がこちらの席に近づく度に会話を重ね、

弥助名人の寿司の心を掴もうとしました。

その結果、色々な事が分かりました。

個人的な事も分かりましたが、これは記述を差し控えます。

お店を出て、アパホテルのロビーで待っていると、

小松弥助寿司の女将さんが、精算にやってこられました。

「お名刺も頂戴し、ありがとうございます」と、

ちゃんと自己紹介したことが奥様に伝わっていました。

お父さんに、弥助寿司を

食べられる内に食べさせてあげようという企画は、

大満足でした。また来たいと思います。

鮨 関連記事 アーカイブ

2013年8月24日(木)