桜 サクラ さくら 咲き始めよし、満開よし、花吹雪は格別

桜の見方 部屋の明かりを消して、暗い部屋から照明に輝く桜をみてみました。 2013年須磨浦花見(2)

須磨観光ハウス花月で通された部屋は、2階のお座敷です。ここからは、窓のすぐそばから、桜が見えます。

お昼なら、海釣り公園のある須磨の海も一望できます。

部屋の広さは、お座敷は8畳間で、控えの間は4畳間です。二つを合わせると、かなり広い部屋です。その広いお座敷に、奥さんと向かい合って、これからお花見の宴をします。

仲居さんが、お酒の注文を受けに来ました。松葉博雄は、いつものアサヒスーパードライです。奥さんは清酒の三つ揃いセットで、一番右端の清酒には金粉が入っています。

お料理が始まると、最初は先附です。桜豆腐、キャビア、三つ葉、才巻海老、桜花、美味出汁が一つのお皿に収まっています。

次に前菜が運ばれてきました。筍木の芽和え、一寸豆、花見団子、春子踊り、桜大根、合鴨ロース、百合根雲丹袱紗焼き、汲み湯葉生雲丹、桜枝がお盆に、綺麗に整えられています。

お料理を食べながら、話をしながら、桜を見ながら、食事を味わっています。とっても美味しいお食事で、ゆっくりとしたペースでいただいています。

次に汁物です。お椀には、桜鯛真丈、菜の花、葩大根、人参、木の芽が浮いて、まるで春をいただいているようです。

お料理は、予め会席膳としてメニューが決められています。会席膳のコースの名前は、ずばり「花」です。

花といえば、瀧廉太郎作曲の「花」を思い出します。

春のうららの 隅田川

のぼりくだりの船人が

櫂のしずくも花と散る

ながめを何にたとうべき

次に運ばれてきたのは、お造りです。お造りには、伊勢海老、桜鯛、縞鯵、穂紫蘇、山葵、紅蓼が一つのお皿に彩りよく盛りつけられています。

次に運んでくれたのは、桜木穴子、筍、長芋、青味、桜麩の炊き合わせです。

給仕の仲居さんは、同じ人が、食べ方の頃合いを見計らって、ちょうど一皿食べ終わった頃、次の一皿を運んでくれます。何度も、部屋に入ってくるので、少しずつ会話をしてみます。

まず尋ねたのは、「昔、この須磨観光ハウスで食べた、子供用お弁当の『かぐや姫』をご存じですか?」と尋ねてみました。

かぐや姫を知っていれば、もう30年以上勤務になります。今日の仲居さんは、かぐや姫のお弁当は聞いたことはありますが見たことはないそうです。

夕闇から暗闇に変わって、お庭には照明が灯り、桜の花は人工の照明に照らされて、浮き上がってきました。

少量を少しずついただいても、いつの間にか、お腹はいっぱいになりつつあります。その頃、銀鱈西京焼、桜蓮根、蓬麩の焼き物がお皿に盛られて登場です。

仲居さんの名前は「なつ」さんです。なつさんと話が弾んできました。少しの期間のつもりで、須磨観光ハウスに勤務するつもりが、いつの間にか、20年近くになったそうです。

箸休めの油目道明寺蒸しが出てきました。

かなりおなかが膨らんで、それでも料理は続きます。本日のメインディッシュなのか、ステーキが出ます。和牛ステーキ(80g)と焼野菜です。甘いタレで、脂を押さえてくれています。

「以前お見かけした女将さんは、お元気ですか?」と尋ねてみました。今の女将さんは、ほとんど客席には出ないそうです。

酢物は車海老の春巻きです。なつさんと話が弾みだして、食べるのも調子づいてきました。

まだご飯があります。豆ご飯です。この豆を箸でつまんで、一粒ずつ、一粒ずつ隅によけておきます。

赤だしは、海老が使われています。濃厚な味わいです。

須磨浦公園は、国立公園の中にあるので、この須磨観光ハウスは私有地ではありません。神戸市から借り受けて、須磨観光ハウスを建てて運営しているそうです。もう創業80年近くにもなります。

なつさんが続いた理由は、仕事のシフトにある程度自由裁量が認められたことです。その代わり、ホテルにお客様の予約がないときは、自宅待機です。

最後は、料理長手作りデザートです。

お座敷で、お料理をいただきながら、お庭の桜を見ている時、ちょっとだけ見方を変えようと、部屋の照明を消してみました。すると、これまで部屋が明るくて、外が暗くて見えなかった関係が、今度は外が明るくて、部屋が暗くなり、桜が際立ってきました。

毎年須磨観光ハウスにくる常連さんが何組もいらっしゃるそうです。昨年、花見をして、その帰りに今年の予約をしたお客様は、予想以上に早い開花で、ひょっとすると今年は桜が散ってしまいそうです。

2013年3月30日(土)