兵庫県立大学経営学部マーケティング特殊講義を担当しました。マーケティングの理論と実践「サービス・プロフィット・チェーンの構築について」

兵庫県立大学経営学部マーケティング特殊講義を担当しました。社会人の非常勤講師として、理論と実践の融合となる講義を目指しました。

兵庫県立大学経営学部マーケティング特殊講義を担当しました。社会人の経験と、大学院で学んだ理論により、実践に裏打ちされた理論を紹介しました。


兵庫県立大学経営学部マーケティング特殊講義を担当しました。

最初の講義室が学生で溢れたために、学生の方からもっと広い教室に変えてほしいという要望があり、講義室は101の大教室になりました。

暖房が入り、300人を超える学生の熱気もあり、講義室はムンムンするほどの暖かさになっています。

パワーポイントを使ってわかりやすい図と表、キーワードで説明していきます。

パワーポイントの良さは、要点が分かりやすいことですが、反面部屋を暗くしないと見えないという欠点もあります。午後の講義で、暑い部屋の中で薄暗くすると当然眠気をさそいます。

このような傾向はすでにわかっていることなので、学生が居眠りしないように面白い講義をしなければ学生はウトウトと眠気にさそわれ、いつのまにか催眠術教室になりかねません。

学生の興味を引く話は、単にテキストに沿った話ではダメで、事例に基づく話や、苦労した話、アルバイトなどで自分も経験したことがある内容などを出来るだけわかりやすくお話をするように心がけました。

教室を見回し、話し声が大きい人、今にも眠そうな人、全く別のことをしている人などのところには、階段教室を登りながら、移動して私語、居眠り、内職の予防線を張りました。

心配したよりも熱心に聞いているように見えます。アンケートの回答を読んでも、伝えたい内容をちゃんと理解して書いていることに安心です。

今日の担当の松葉博雄は「サービス・プロフィット・チェーンの構築」について講義を行いました。

講義の内容については、理論と実践を織り交ぜて、これまでに歩んできた経営と、神戸商科大学で学んだ理論を事例を交えてお話をしました。

まず、あらすじをお話します。

1.33年前、一人の若者が会社を創りました。

2.コンタクトレンズビジネスをはじめました。

3.市場開拓し、顧客を創る努力を続けました。

4.努力が実り、一応の成果を得ました。

5.ある日突然、大地震が会社を壊してしまいました。

6.復興市場では価格競争が始まりました。

7.改めて将来の事を考えることにしました。

8.大学院で理論を学び、戦略をつくりました。

9.SPC戦略が従来の理念に沿う戦略となりました。

10.顧客のLTVを重視するメルスシステムに応用。

会社を始め、顧客を創り、ハードレンズ、ソフトレンズ、使い捨てレンズの市場を拓き、努力を続け神戸の市場を作っていきました。

現在、日本のコンタクトレンズ使用者は約1400万人もいて、レンズの市場は出荷価格ペースで約1300億円もあります。さらにこれにケア用品が300億円ほどあります。小学校から始まる裸眼視力1.0以下の近視の方は中学、高校に進むにつれて約60%に増えてきます。その原因として考えられることは、テレビ、ゲーム、雑誌、漫画、パソコン、携帯電話などの細かい文字を長時間読むこと、これに学校、塾、自宅での勉強が大きく目に負担をかけています。日本では近視は国民的な問題なのです。

コンタクトレンズの販売は医療的な要素をもっています。そこで装用者の期待に応えられるように、サービスの品質が大切です。これは装用者のことを考える気持ちと、技術水準などのサービスの品質について、真剣に考えなければなりません。この品質は5つの基準で計ることができます。

サービスの品質の5つの指標

・信頼性・・・サービス担当者が約束を守っているか。

・迅速性…タイミングよくサービスが行われたか。

・共有性…顧客の視点でサービスが行われたか。

・有形性…サービスが行われた証拠が残ったか。

・確実性…間違いのないサービスが行われている。

サービスの特性は形のある商品とは違った、特別な要素を持っています。それは(1)形がないこと (2)サービスの提供と消費が同時に行われること (3)人、場所、時間によりサービスの品質が変動すること (4)無形性で消滅するため貯蔵、在庫、移転が出来ないこと、が挙げられます。

このような理論的な話をした後に、実践的な経営についてお話を進めました。その概要は次の通りです。

順調に歩んでいるかのように見えた経営も、1995年1月17日の阪神淡路大震災によりさんプラザビルが崩壊し、経営はまた一から立て直す復興マーケティングへのリセットとなりました。

震災後の復興マーケティングの中で、競争激化が進行し、低価格訴求だけを売り物にするような競争企業に対して、しっかりとした真似の出来ない経営を学ぶため、新たな経営理論を学ぶため神戸商科大学大学院に入学しました。

マーケティング研究を行い、これまでの実践経営に顧客満足、従業員満足、One to Oneマーケティング、サービスの品質、サービスの特性、生涯価値(Life Time Value)、経営責任者の責務、企業理念、経営理などの理論を加え、サービス・プロフィット・チェーンの理論を構築しました。という流れです。

サービス・プロフィット・チェーンは、売り上げや利益、市場のシェアを重視する考えから顧客満足度を物差しにして考えることになります。そのためには、従業員満足こそがその大切な要因となります。この事をこのページで説明することが目的ではありませんので、この内容については機会を作り、別ページで掲載したいと思います。

最後にアンケートを書いて頂きました。代表的な質問はボードに書いて表示し、すぐその場で回答をどんどん行いました。

短時間のうちで多くの質問に答え切れませんでしたので、質問用紙の中から代表的な質問をいくつか選び、このホームページ上で後日お答えさせていただきます。

2005年1月13日