ドラッカー先生の追悼:ドラッカーのマネジメント、ピータードラッカー先生を偲んで

ドラッカー先生の追悼:ドラッカーのマネジメント、経営哲学の父ドラッカー先生を偲んで

ドラッカー先生の追悼です。ドラッカー氏が2005年11月11日に、ロサンゼルス郊外のクレアモントで亡くなられました。享年95歳でした。

松葉博雄は、2000年4月より神戸商科大学大学院経営学研究科に入学し、改めて社会人としてもう一度大学で経営学を学びました。

経営学を研究するとき、その基本的な思想の中に出てくる文献にドラッカー先生の書籍によく出会いました。そこで、ドラッカー先生の追悼です。

参考文献や講義の中で、教授の先生方からも、ドラッカー先生のお話しがよく出ました。

私も会社の研修でドラッカー先生の著書を参考書として使っています。(2005年6月の研修風景

戦後の日本経済の発展を推進した民間企業の経営幹部の方に大きな思想的な背景となったドラッカー先生は経営学の父と言われています。

ドラッカー先生への追悼、ここに、P.F.ドラッカー先生の逝去を悼み、慎んでご冥福を申し上げます。

松葉博雄の敬愛するP.F.ドラッカー先生を追悼し、以下の文章は、「真実の経営を求めて」の研究論文の小論を述べた一部分です。ドラッカー先生の敬意を表し、修士論文の一文を抜粋し掲示させていただきます。

真実の経営を求めて

ドラッカー氏の所論では企業と管理者は社会的任務を負っている。専制君主に代わり企業は社会を構成し、知識労働者に職務を与え、富を創造する役割を担っている。

社会の富を創造する企業は経営を誤って病を得ることがあれば、病の進行の結果、重篤な症状を起し、死に至ることが社会全体の成長を止めることとなる。

経営学や、科学の発展により企業の成長の終焉を阻止することができ、成長の停滞の予防が可能であれば、経営学の果たす役割はより意義深いこととなる。

社会全体としての経済が経済政策や金融政策によって恐慌や社会不安から回避するべく研究が進むように、個別企業においても予防可能な衰退や経営不安に陥る以前に従業員、顧客、取引先を中心とする利害関係者(ステークホルダー)に企業の存続をより強固にならしめる経営政策が執行されることにより、企業の目的たる存続(ゴーイング・コンサーン)を可能とする研究が各方面より試され成果をあげることが社会全体の安定に寄与する事となり得る。

企業の存続は企業の外部である顧客にもとめることとなるので、顧客が企業を規定することが存続について大きな不安定要因であると言える。

顧客は人であるから人の心は移ろい、変わり易く、決して一ヶ所にとどまることが無いからである。

捉えることの難しい移ろい易い心を持つ顧客に対して顧客の生態を観察し、その行動を把握し、その行動を予知しうる程の顧客への理解が可能であれば、企業の存続も闇からかすかな光明を得ることとなる。

マーケティング活動を行うことにより、知恵を働かし、光明をより照らすことによって無明から脱出できるものであれば、さらに企業の存続は確かなものへと進展することとなる。

企業の目的を顧客の創造とし、マーケティングとイノベーションをその機能とするとマーケティングの役割は顧客の獲得であり、維持することであり、育成することとなる。

実際にサービス企業で接客を行うのは、現場従業員であることから、マーケティングの触覚となり、マーケティングの皮膚となるのは従業員であると言える。

顧客の心を捉えることが顧客を維持することであるが、これは現場を中心とする従業員であるから顧客満足を得るには従業員満足から始まると言える。

顧客の創造のための戦略的マーケティング活動の中心的役割は経営者であるが、実践上の役割は従業員である。この従業員が企業の理念を理解し、職務を遂行する経営システムを構築することは、より企業の存続を確かなものにすることである。

顧客満足の追求は個別的企業の成長のため、企業、従業員、顧客のそれぞれの成長につながるべきである。しかし、個々の企業の顧客満足追求は社会全体から見て社会全体の満足と調和するべきであるよき企業はよき社会にのみ成立する。

したがって理論的枠組としては、顧客満足追求は社会全体の満足の追求となる満足追求の研究を行う。持続可能な経営の成功要因を訪ね、システムを構築し、実践できるモデルを創り出すことをこれからの研究の始めとしたい。

Marketingの言葉の前はアメリカではtrade,commerceといった言葉が使われていた。

マーケティング・コンセプト(マーケティング概念)とは、企業経営にあたって必要とされる企業の志向に対する考え方もしくは接近法である。

企業が全組織的に市場に対する考え方(概念)であり、プロダクト志向、販売志向、マーケティング志向、顧客志向へと変遷し、そして今日では社会志向というように、志向に対する企業の考え方、接近法である。

ドラッカー氏の言う「マーケティングの究極目的はセリングを不要にすることである」という考えは、研究者、技術者の興味本位から生まれたものは商品ではなく、顧客ニーズから生まれる顧客志向の商品が必要であることであり、企業全体がマーケティングという仕組をしなければ顧客志向とはならないと考えられる。

顧客志向を発展させると顧客に対し、企業の姿勢は正面に向かわざるを得ない。企業が市場に対して、顧客志向というマーケティング・コンセプトを基本とし、マーケットミックスを戦略として取り、マーケティング対象にターゲット顧客集団の確定を行い、マーケティング目的を、顧客の創造、維持、育成とすればマーケティング戦略体系システムされる。

このマーケティング戦略は顧客満足を最重要テーマとすることで顧客満足経営となる。

ドラッカー氏の所論(1974年”management”)では、企業の目的は、企業それ自体の外部に存在しなければならない。企業の目的は社会の内部に存在しなければならない。企業の目的に関しては、ただ一つの妥当な定義が存在する。それは、顧客を創造することである。

企業の目的が企業の外部に求められることになれば、外部とは具体的には顧客の欲望と必要の充足が企業に課せられた社会的役割として理解しなければならないが、ドラッカー氏は、たんに顧客の欲望を満たすことではなくて、「顧客を創造すること」と考えている。

顧客は企業によって創造されるものであって、天から授かったものではないということである。企業は顧客を満足させる事が、企業の使命であり、目的である。

「われわれの企業は何か」を問う事こそ、トップマネジメントの責任であり、「われわれの企業は何であるか」という問いには、「顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的である。」これが顧客と市場の観点からの答えとなる。

「顧客を創造すること」と「顧客を満足させること」とのそれぞれとの関係は顧客を創造し、満足させること企業のみが存続を許され、成長を可能とすることである。

ドラッカー氏はこの点について、具体的な表現を述べている。企業がつくり出すものが、消費者の欲望を満たすものであり、それに対して企業が設定した価格で進んで、それを消費者が買ってくれる時に、はじめて企業はみずからの存立の基礎を確立し、繁栄できる。

この意味で、顧客こそが、企業の存立の基礎をなし、企業の繁栄を保障するのである。そしてこのことは、こうした機能を有する「顧客」を企業がみずから創造しさえすれば、おのずから、企業の存立の基礎が強化され、企業の持続的繁栄が確保されることになることを意味する。

このようにして「顧客を創造すること」が、企業の目的として、ドラッカー氏によって考えられているのである。

企業によって満たされるべき顧客の欲望については、3つの欲望がドラッカー氏は区別している。

(1) 消費者によってすでに感じとられている欲望(the felt want)

(2) 消費者によっては、まだ感じとられてはいない欲望(the unfelt want)

(3) 企業によって創造された欲望(the created want)

(1)と(2)は顧客満足させることが可能であるが、消費者の需要を企業が創造しているのは第3の場合であるので、欲望は創造されたものである以上は満たしているとは言い切れない。

顧客満足の認識

マーケティング研究課題として主体である個別企業と環境としての市場の双方において主体として「意図」した結果がどのような影響を及ぼしているかを考える必要を感じる。

とくに市場においては「意図されざる結果」が及ぼす影響に留意しなければならない。

ドラッカー氏の所論では、企業の目的は利潤の極大化ではなく、顧客の創造を企業の目的として規定している。先ず、企業は創業されると企業のもつ命題は企業の存続となる。

ゴーイング・コンサーン(going consern)といわれるように、企業の継続性を目指し、存続することを第一義に考え、さらに成長をしていかねばならない。企業活動は、そのためには顧客の創造が目的となる。

一方において、成長する企業は顧客の創造をとおして、社会に受け入れられることで、社会的任務(social tasks)が課せられることとなる。嶋口充輝(1994)は、ドラッカー氏の所論における顧客満足の意義について、ドラッカー氏は顧客の創造の手段としてのマーケティングとイノベーションを指摘している。

マーケティングによって顧客創造の方策を顧客満足の仕組みとして構築し、そこに新機軸たる革新性発揮によって魅力的な製品、サービスやコスト削減機会を追求していけると体系付けしたとしている。

嶋口充輝(1998)は、つぎのように説明している。「顧客満足の理念を行動範囲としながら顧客創造・維持の仕組みをつくる中心的事業機能が、マーケティングとイノベーションである。

このうちマーケティング機能は顧客創造・維持の仕組みそのものの形をつくることにかかわり、イノベーション機能はその仕組みのなかに時代や社会変化に応じて生まれる新機軸(アイデア・発想・技術など)を取り込む役割をもつ」

ドラッカー氏のこのような知見により、実践経営学は、顧客創造を通じた企業成長のための重要なツールとして認識された。

顧客創造を目的とするマーケティングの重要性を経営分野に大きく認識させ、企業成長そのものに直接かかわる唯一の機能としてマーケティングが強く認識されることとなった。そのために顧客の満足化こそが、大きな経営課題として認識されるようになったと見解を示している。

1950年代 認識の時代

経営・マーケティング分野で、顧客満足の概念が、どのように発展してきたかについて嶋口充輝(1994)はドラッカー氏を始めとする次の区分とする時代認識を示している。

企業の長期的な存続のためには、利潤至上主義から脱却し、顧客創造を追求すべきであるとし、顧客満足経営の理論的整合性への途を開いたのはドラッカー氏である。

ピーター・ドラッガーは、1954年に「現代の経営」(Drucker,1954)を著して、事業の目的は利潤ではなく「顧客創造」であるとし、社会的資源を使って、自己の利潤のみを追求することは長期的な企業存続の合理性を著しく失うと主張した。

ゴーイング・コンサーンとしての企業は、成長の糧を目先の利潤追求になってはならない。事業の継続は次の成長のために顧客創造を行ってのみ達成できる。利潤はその結果として必然的に入ってくる。

事業の目的は顧客創造である。そのための機能としてマーケティングとイノベーションを明示化した。

マーケティングによって、顧客創造の方策を顧客満足の仕組みとして構築し、そこにイノベーションによって魅力的製品、サービス、コスト削減機会を追求していけると、体系づけた。

ドラッカー氏の考えでは、マーケティングのみが唯一の成長をつかさどる経営機能であり生産、研究開発、財務、人材開発などはコストにすぎないということになる。

このように1950年代は、マーケティングの役割が「顧客創造」という目的にあり、その遂行に顧客満足、顧客志向が重要であると明示的に認識された「認識の時代」である。

顧客満足研究の概観

顧客満足は本当に企業経営にとって有用なものか、具体的な成果を企業に与えるのであろうかという疑問に対応することが近年の顧客満足研究の第二世代に展開することとなる。

アプローチの1つは顧客満足の有効性の検証である。それは、顧客満足が経営的成果との因果関係にあることを示す確認でもある。

この研究はForhell(1994)がスウェーデン郵政省の委託によって行った実証研究があげられる。

さらにHeskett(1994)が米国ゼロックス社で年間48万人に対して行った5段階尺度の満足度調査での最高位の「5」の評価が次位の「4」の評価層に比べて約6倍の再購買確率を導き出した実証研究があげられる。

このようにドラッカー氏の経営理論から始まった顧客満足概念とその研究は、顧客満足の形成要因、形成プロセスの解明へと研究の議論は広がった。

有効性の検証、経営的成果をあげるマーケティング・システムの創造へと理論から実践的な領域に広がった。

さらに成功企業の研究を通して、個別企業においてもマーケティング活動のなかでも重要な研究分野であることが認識されていくこととなっている。わが国では、嶋口充輝、近藤隆雄らの研究が挙げられる。

実践的な研究としてヘスケット(1997)によって示された、サービス・プロフィット・チェーンのモデルは、顧客満足を経営戦略として位置づけた。

顧客満足から顧客感動、さらに顧客ロイヤルティへと顧客と企業との関係をより深め、そこに従業員の果たす重要性に着目し、顧客満足の原点を顧客に最も近い従業員に求めて、従業員満足の形成モデルへと発展することを示している。

マーケティング志向概念

マーケティングとは何かとい疑問に対して、ピーター・ドラッカー氏は、「マーケティングの目的は、販売を不要なこととすることである」と述べている。

マーケティングの目的は、製品あるいは、サービスが顧客に適合し、独りでに売れてしまうほど十分に、顧客について知識を深め、顧客を理解することにあると考える。

わが国において顧客満足経営の事例は、江戸時代における越後屋(現三越)の呉服販売の正札販売の事例が挙げられる。

第二次世界大戦後は、戦後の経済復興優先という環境のなかでは顧客満足の意識は忘れられていたかのように思えるが、1955年の経団連のアメリカ視察によって、マーケティング概念とその中心的課題である顧客の満足への取組みが改めて経営課題としてクローズアップされた。

このことは、ドラッカー氏やレビットが示す企業の存続から見れば顧客が中心的課題であり、その顧客が求める欲望(want)に応える顧客満足を経営課題とし、経営的成果は顧客満足によって実現されるということとなる。

マーケティング活動の発展過程において生産から製品、さらに販売へと志向が移り、マーケティングへの進展とすれば、市場での主役は造ることから製品販売へと、フォーカスして行くこととなる。

それは、顧客への関心の度合いが変わることであり、顧客のもつ志向までに深く思慮することとなる。それは顧客満足概念の浸透であると言える。

顧客満足はマーケティング研究において、顧客志向概念から形成されたものであるが、その理論はドラッカー氏による経営理論に見られる。

マーケティングは企業の存続を目的として顧客を創造するためには、「今日の販売」から「明日の糧」を求める、売れる仕組みをビジネス・モデルとして構築することとなる。

ビジネス・モデルは企業の理念に基づき、独自性を持ち、企業の成長を支えるものでなければならない。顧客満足は競争戦略上の意識から顧客との長期にわたる関係性の維持へと意識は変わっていくこととなる。

顧客の価値を顧客の生涯価値へと見直せば、顧客のシェアへと注目しなければならず、それは顧客満足度が重要な尺度となってくるからである。

以上、2003年 松葉博雄 神戸商科大学大学院修士論文 第一章より抜粋

参考文献

Peter F.Drucker(ドラッカー),”THE ECOLOGICAL VISION”(上田惇生、佐々木実智男、林正、田代正美『すでに起こった未来』ダイヤモンド社 、1994年)

Peter F.Drucker(ドラッカー),”THE PRACTICE OF MANAGEMENT”(『新訳 現代の経営(上)』上田惇生、ダイヤモンド社、1996年)

Peter F.Drucker(ドラッカー),”MANAGING FOE RESULTS”(上田惇生『[新訳]創造する経営者』ダイヤモンド社、1999年)

Peter F.Drucker(ドラッカー),”MANAGEMENT CHALLENGES FOR THE 21ST CENTURY”(上田惇生明日を支配するもの)ダイヤモンド社、2000年)

Peter F.Drucker(ドラッカー),”THE ESSENTIAL DRUCKER ON INDIVIDUALS”(上田惇生『プロフェッショナルの条件』ダイヤモンド社、2000年)

Peter F.Drucker(ドラッカー),”MANAGEMENT:TASKE,RESPONSIVILITIES,PRACTICES”(上田惇生『マネジメント 基本と原則』ダイヤモンド社、2002年)

Peter F.Drucker(ドラッカー),”MANAGING IN THE NEXT SOCIETY”(上田惇生『ネクスト・ソサエティ』ダイヤモンド社、2002年

Peter F.Drucker(ドラッカー),”DRUCKER SAYINGS ON MANAGEMENT”(上田惇生『ドラッカー氏名言集 経営の哲学 いま何をなすべきか』ダイヤモンド社、2003年)

嶋口充輝『顧客満足型マーケティングの構図』有斐閣、2002年

嶋口充輝、竹内弘高、片平秀貴、石井淳蔵『マーケティング革新の新時代』有斐閣、1998年

Heskett,James,L. and Sasser,W.Earl. and Schlesinger,Leonard,A.,”THE SERVICE PRIT CHAIN”(島田陽介訳『カスタマー・ロイヤルティの経営』日本経済新聞社、1998年)

Robert Bartels., “THE HISTORY OF MARKETING THOUGHT”(山中豊国『マーケティング学説の発展』ミネルヴァ書房、1997年) 
 



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