新しい経営モデル:レーガン大統領を偲んで

新しい経営モデル:レーガン大統領を偲んで

新しい経営モデルを推進した、レーガン大統領を偲んで 記事を書きました。

第40代アメリカ合衆国大統領(1981年~89年)ロナルド・レーガン元大統領が2004年6月6日午後(日本時間6日未明)、カリフォルニア州の自宅で死去されました。

享年93歳でした。

対外政策では、冷戦下の80年代に「強いアメリカ」の再生を目指し、対ソ強硬路線の末に緊張緩和を実現させました。国内政策では、レーガン氏が強いアメリカを再生させるために、国家戦略として米国の品質経営政策にマルコム・ボルドリッジ国家品質賞を創設しました。

ここでは、新しい経営モデルの明示があります。例えば「顧客志向と顧客満足度」、「人的資源の開発とマネジメント」、「ビジネスの成果」、「戦略計画」などの経営モデルを示しています。

レーガン元大統領が示した新しい経営モデルが、その後、マーケティング研究にも大きな影響と成果を残しました。

ここに、レーガン元大統領の逝去を悼み、慎んでご冥福を申し上げます。

以下の文章は、顧客満足経営を研究した節に、マルコム・ボルドリッジ国家品質賞に接し、その概要について小論を述べた一部分です。

レーガン元大統領に敬意を表し、研究の一文を掲示させていただきます。

アメリカの顧客満足経営の背景

1.マルコム・ボルドリッジ国家品質賞創立の経過と顧客満足への取組み

近年、顧客満足、顧客志向がマーケティングの重要なコンセプトとなり、製品から購入者である、顧客へと企業の関心が移っている。この意識の変化はどのように生まれ、我々の身近に育って来ているのかを考察してみる。

アメリカを中心としたグローバル・スタンダードが我国での経営にも多くの影響を与えている中で、経営の中心に顧客満足度の向上を目指して、より品質の高いサービスを追求する企業が顧客からの「リピート」という支持を得て、業績を着実に伸ばしていると言える。

それでは、この顧客満足とかサービスの品質向上を経営の中心とする考え方は、どこにその源があるのかを考えてみると、それはアメリカの1980年代の国家的取り組みである「アメリカの再生」を目指したレーガン大統領の政策とそれを支援した、いくつものブレーンからその源が発生したのではないかと思考する次第である。

一つの企業が考えるレベルを超えて、強いアメリカを目指すのために国家的取り組みの中で生まれた。

アメリカの企業の競争力の育成に当時の日本と新興工業国のアジア諸国を競争相手と意識し、特に日本を仮想敵国とし、そのベンチマークを行い、更にそれを超えるモデルの基本となったのが、以下に述べるマルコム・ボルドリッジ国家品質賞(MB賞)の創設とそのフレームに源流を見出すものと考える次第である。従って、MB賞を実践しているアメリカ企業を学ぶことは、先ずMB賞自体を研究することになる。

顧客満足が経営の実践において中心的課題となった経緯において看過せないのは、1980年代のレーガン大統領の時代にアメリカが国家戦略として取った「強いアメリカの復活」の政策である。

この政策により、アメリカは大統領自らが卓越した企業を表彰するという制度を創った。

これがマルコム・ボルドリッジ国家品質賞である。顧客満足の理念の実践がここにある。

戦後の日本の経営は、日本製品であるMADE IN JAPANといえば粗悪品という評価とイメージを1950年代の初頭までは定着していた。

デミングやジュランといった専門家の意見を聞き、1951年にはデミング賞を設けられ、日本の経営者は品質の改善に努力を重ねてきたが、これは製品に対する品質の改善が中心であった。

QC(quality control:品質管理)は一定の不良品の存在を容認する品質管理であり、品質改善には役立っても、品質と生産性の向上には不向きであった。QCに代わって登場したのがTQC(total quality control:全社的品質管理)である。

TQCは無欠点(zero defects:ZD)で高品質の製品が低価格で生産される基礎となった。TQCは製造活動にとどまらず、建設、ホテル、ソフト開発へとオペレーションやサービス部門へと広がり、1980年代までは、日本とアメリカとの品質が逆転するような高品質のレベルにまで改善が進行し、日米貿易摩擦問題に象徴されるように、アメリカ市場を日本製品がおびやかす結果となってしまった。

日本企業との競争激化が、アメリカでも品質改善の取り組みを刺激し1980年代後半には、アメリカでTQM(Total Quality Management)が誕生した。

TQMには顧客満足志向、従業員の参加、「カイゼン」などのマーケティング戦略が特徴としてあげられる。

これに対して最近の日本企業の経営戦略の中では国際的な標準規格であるISO9000を取得することで自社品質管理を企業の立場から購入者の立場へと顧客志向へと転換し、グローバル・スタンダードへとJIS(Japanese Industrial Standards:日本工業規格)から国際標準へのマーケティング戦略の転換が多く見受けられている 。

2.マルコム・ボルドリッジ国家品質賞の創立

この賞は、1987年8月20日レーガン政権の時に国家品質賞として制定された。翌1988年1月25日に正式に実施が発表された。

その記念式典でレーガン大統領は「MB賞が推進するクオリティと顧客への関心の強化と経営の改善とは、すべての社会で、成長、雇用、繁栄の原動力となるものである」とMB賞への大きな期待を込めて挨拶している。

マルコム・ボルドリッジ国家品質賞制定の動きは、防衛ロジスティクス・エージェンシー(国防省のサービスに関連するすべての契約審査を担当)の品質保証審査の責任者であった、F.C.コリンズ氏が来日した1982年より始動し、日本のデミング賞授賞企業を訪問して、工場現場を見学し、「日本人の仕事に対する熱意と、完璧さを求め、飽くなき挑戦の精神」に強い感動を受けた。

米国の競争力を高めるために、起爆剤として、何らかの国家的な表彰制度の制定が必要であることを、認識した。

その後、4年半かかって、議会の決議へ1987年8月20日にレーガン大統領が法案に署名することにより、マルコム・ボルドリッジ商務長官の名を冠しマルコム・ボルドリッジ国家品質賞が誕生した。

この法律の所管は、国家標準局が実施の責任者として、指名され、1988年2月15日申請のガイドラインが一般に公表された。

第1回授賞式は、レーガン大統領が1988年11月14日ホワイトハウスの官邸で行った。

「The Malcolm Baldrige National Quality Award(MB賞)」は、1987年のレーガン政権のもとで、米国の国家的競争力の向上を目的とした。

その設立に尽力した商務長官の名を冠して創られたものである。MB賞は、創造的で、かつ継続的に、顧客が満足するクォリティ改善、その実施度合の評価、そしてその改善領域の発見のための優れた経営システムを有する企業を、大統領自らが、毎年製造部門、サービス部門、中小部門の3つの部門から最高6社に賞を与えるものである。

この賞を受賞するたものクライテリア(審査基準)は、これまでの書物の付録などとして利用されているものも含めると、ざっと200万部にものぼる部数が配布されており、まさに国家をあげた競争力向上のための「現代経営の教科書」的存在となっている。

これまでの12回までの受賞企業は、合計39社となっている。

この受賞企業が審査基準ごとに詳細な活動内容を紹介する「クエスト会議(The Quest for Excellence Conference)」には、全米から1200名余りが参加し、世界各国からも「QUALITY JOURNEY」の内容を求めて、会議に参加する 。

3.マルコム・ボルドリッジ国家品質賞創立の意義

レーガン大統領(1981年~89年 第40代大統領)が就任当時、アメリカの市場は、日本とアジアの新興工業国の台頭により、自動車、半導体、鉄鋼、工作機械、繊維市場などが、日本製品で満ち溢れ、ラジオ、カラーテレビ、などの民生用電子機器に至っては、米国企業の撤退、消滅が相次ぎビデオ・レコーダーは参入すら出来ず、100%外国企業に米国市場を支配されるものもあった。これは、強いアメリカの復活を目指すレーガン大統領にとっては、是非、対処しなければならない事態であった。

当時、アメリカの財政状態は、2つの赤字を抱えていた。すなわち、軍事費の膨張を主体とする財政赤字と輸入品の増加による貿易赤字の双子の赤字に対処することが強いドルを信認させる為の、大統領にとっての課題であった。

しかし、貿易収支の赤字は増大するばかりで、「ジャパンパッシング」をしてみても、米国企業の本質的な競争力の回復につながることにはならないことは結果として明らかであった。

「1980年には、日本が次から次へとさまざまな産業に参入しては独善的に支配する、冷酷な権力者のように見られていた。

アメリカは自信をなくし、倦怠感に蝕まれていた。ところが、今では逆の現象が起きている。石油価格は過去最低の水準に落ち込み、日本は不況にあえぎ、アメリカの倦怠感は歓喜に変わった。経済力が形成されてくるにつれ、インフレはデフレに転じている」ウェルチ会長は、1980年と1999年を比較してこう述べている 。

強いアメリカを目指してレーガン共和党政権のもとでアメリカの産業競争力政策について、具体的な政策が執られた。

ヒューレット・パッカード(HP)のジョン・ヤング会長を座長にいただく大統領直属の諮問委員会がまとめた、いわゆる、ヤング・レポート「生産競争力に関する大統領諮問委員会の報告書」である。この報告を受けたレーガン大統領は、1987年一般教書(アメリカ大統領が連邦の状況や思索について議会に送るメッセージ)の中で、「アメリカ産業の競争力強化」を打ち出した。

さらに、マサチュー・セッツ工科大学(MIT)は、「アメリカ産業の業績に生じた異変の原因は何か」「自体の打開と改変のためになすべきことは何か」を徹底的に調査すべきだというポール・グレイ総長の問題提起で、スローン・ヒューレット財団の援助を受けて、1986年に、各分野にわたる第1線の専門家30数名からなる産業生産性調査委員会を発足させた。

委員会のメンバーは、アメリカ、日本、ヨーロッパの約200社の有力企業を訪問調査するとともに、経営者、労働組合幹部などに数百回に及ぶインタビューを実施して詳細な調査を行い、1989年に調査報告「メイド・イン・アメリカ」を発刊した。

この中で、アメリカの製造業の生産性は、なお世界をリードしているのが、日本に比べた場合伸び率は低く、製品の品質、製品の開発スピード、革新的技術の実用化スピードなどの分野では、もはや世界のリーダーとは言えなくなったと指摘した。当時のアメリカは、大量の製品を低コストで供給することが主眼とされ、外国社会の顧客ニーズと嗜好を真剣に取り上げようとしていなかった。時代遅れの経営戦略と競争力低下に日本に市場を奪われる原因があることを指摘した。大量生産、大量販売、大量消費のアメリカ型の従来のマス・マーケティングの限界を示し、新しいマーケティング志向へ転換を示唆することになった。

マルコム・ボルドリッジ賞の創設は強いアメリカへの再生のための経営的戦略の転換を国家的レベルにまで昇格させ、実施し、表彰することで励ます、というまさに企業としての国家事業とも言えると考えられる。

4.新しい経営モデルへの移行

マルコム・ボルドリッジ国家品質賞の目指すべきことは、顧客と顧客満足にフォーカスし、それを実現するには従業員の参画と、従業員満足であり、基準となるのは、品質の向上であり、サービスの向上である。

これらが一つのチェーンとなり、顧客満足と従業員満足がつながり、個人の評価と顧客の価値が結びついて報酬と業績利益がもたらされるという事になる。

新しい経営モデルの中で追求する高品質による顧客価値を、具体的に企業の内外に公約(コミット)し、その仕組み(プロセス)を設計し、浸透を計らなければならない。1990年度サービス産業で、最初のMB賞授賞企業のフェデラル・エキスプレス社は、全社レベルで次のような、2つの品質ゴールを掲げた。

・顧客とのすべての取引と問い合いについて100%の満足を追求する

・取り扱うすべてのパッケージについて100%のサービス達成度を目指す

顧客価値の創造に向けて、品質は顧客が決めるという志向概念の変革が起きている。企業の提供する製品・サービスの品質は、顧客の視点で顧客の描く価値に最適適合することであることを再確認することになり、経営パラダイムが顧客志向へとシフトすることになる。

供給者の論理(プロダクト・アウト)から顧客の論理(マーケット・イン)へ。経営のパラダイム(その時代における支配的思想、考え方)が供給者主導から顧客志向にシフトしている。

市場・顧客の要求を正しく編集する市場・顧客が認知する価値についての要求、期待と満足度のフィードバックが日常業務の中で機能するようにする。

顧客満足は顧客接点だけではない、企業組織全体を顧客価値を生み出す志向に変えなければならない。顧客満足経営は、顧客接点でのサービスの向上だけではない。その背後にある関連プロセスを重視すべきである。

SAS航空のヤン・カールソンの「真実の瞬間」の事例で背後にあるプロセスも含め、全体の経営プロセスを最適化すべきである。
トップも直接顧客の声を聞くべきであり、報告書に頼ってばかりいては顧客のニーズは理解できない。企業のトップは自らも顧客満足/不満足を把握するために顧客の所へ足を運ぶべきである。

顧客満足は企業の戦略目的である。企業全体が取り組むべき基本戦略である。顧客満足は企業が市場・顧客に支持され、生き残っていくための戦略目的であることを認識、すべての企業活動をこれに向けて体系化、再デザイン(設計)すべきである。

グローバルな規模での「大戦争時代」に入った(東西対立の終焉、南北格差が崩れたメガ・コンペティション)。の中で生き残るには、市場、顧客が求める価値。その判断の指標は顧客満足度である。

顧客満足は明日の市場・顧客をも創造する価値の根元である。顧客満足は「生涯顧客としての価値」を重視、現在の顧客を確保、維持していくことを基本的な目標とするが、未来の顧客や市場を創出するためのプロセスを合わせてもつべきである。

5.マルコム・ボルドリッジ国家品質賞で再生した米国の品質経営

米国の企業経営が従業員をコストと考える見方から、経営のパートナーとする見方に大きく変わっている。

従業員をインターナル・カスタマー(内部顧客)として位置付ける。従業員を単純な金銭的なインセンティブや情緒的な動機付けで経営者や管理者の命令、指示に従って業務をさせる従来の労使観に大きな変かが起きている。

エンプロイーからアソシエイト(ノードストロームの例)や、ピープル(PVAのピープル)など、その呼称が変わってきている事である。MB賞の浸透により、アメリカ企業の品質のこだわりは、業績への貢献を重視する品質と顧客満足経営の重要性を強く認識することとなった。

品質への投資はコストではなく、将来の業績のための投資である。品質は顧客の満足と国際的な競争市場におけるナンバー・ワンを目指したものである。

業績をあげるためには、品質を重視し顧客に顔を向けた経営が最終のゴールへのプロセスである。顧客満足と従業員満足との良循環が企業の価値を高めることとなる。

MB賞を受賞した企業には、共通してトップの強力なリーダーシップがうかがえる。

経営姿勢は次のように要約される。

  • 変化への対応ビジョン(明確なビジョンを創造する)
  • 挑戦的なゴールの設定(やる気にさせるゴールを設定する)
  • 品質を通じての顧客満足(品質を通じて100%の顧客満足)

これらの実現のためにチームを通じて社員に権限を与え、効果的な自己管理ができる舞台(体制)づくりをした上で、社員の参画を呼びかけている。

米国企業にとって、MB賞の挑戦はミーイズム(分断された個人主義)で求心力を失いかけた企業が、目標と価値観を共有して組織の求心力を取り戻す格好の戦略的な標的を提供している。ビジネスにおける仮想敵国は初期においては、日本が目標となっているのではないかと考える。

戦略の実践を支える戦闘体制―MB賞受賞企業の共通した強調点

  • 戦況を熟知し、組織化されたリーダーシップの発揮とトップの存在
  • 自己管理型のチーム編成で現場の戦況に応じて対応する戦闘要員
  • 目標を認識し、戦闘技術に習熟して、ファイティング・スピリッツに溢れた戦闘要員

日本と比較した時、日本の企業には果たして、どのような強みと弱みがあるのか。バブル崩壊によるリストラクチュアリングで求心力にほころびが見え始めた日本の企業にあって、戦力の立て直しに組織的な対応が急がれる。

6.教育・訓練に投資する米国企業

米国企業は従業員の教育・訓練に給与の3~7%を割いていると言われている。

ソレクトロン社ではソレクトロン大学と呼ぶ企業内教育体系を整えている。GEではクロトンビル研修所である。

日本企業の場合は、均質的な民族と社会の教育システムに支えられて、人質の標準レベルでは、優位な環境にあるので創造型人材を育成するもう一つの課題がある。

ベンチマーキングが常識の戦略的品質経営が行なわれている。競争相手を意識することである。ベンチマーキングは端的に表現すれば、すぐれた結果を生み出しているそのやり方(プロセス)を合法的に学び、自社に移植することである。これは日本が過去において得意とした物真似(how)の世界である。

コンピテンシー理論は、高業績をあげる人の行動特性を抽出してそれを真似ることで自らの業績を高める方法である。ベンチマーキングはコンピテンシー理論につながり、高業績を上げる理論上の説明となる。人的な投資は品質を高めることで、品質への投資はペイすることとなる。

MB賞受賞までのコストについて、過去の受賞企業の評価者は、コストとして考えず、見返りのある投資であると考えている。見返りは、利益の向上だけでなく、市場における競争力の源泉であるソフト資産(人)を評価するべきである。

1987年に設定されたマルコム・ボルドリッジ国家品質賞は強いアメリカの再生を目指すレーガン大統領によって創設され、企業の中心的課題を顧客満足と顧客の期待に応える優れたクオリティの実現にそのフォーカスした。

ビジネスモデルは従業員を経営資源とする視点へ移し、エンパワーメント、教育・訓練そして評価・報酬に発展する良循環経営モデルを示した。企業はその理念を明示し、その実現に向けて与えられた環境での経営資源を有効に使い、顧客満足に基準した経営成果を達成することを経営責任者は最大の努力を務めなければならない。

おわりに 今後の課題

顧客満足は、かねてよりマーケティングの中心思想であり、また行動原理であった。

経営の分野で「顧客満足」の原点となる概念を示したのはドラッカーである。彼は「現代の経営」(1954)において、企業の目的を「利潤」ではなく「顧客創造」にこそ求めるべきであると主張し、マーケティングとイノベーションを中心機能であることを明示した。

マーケティングによって顧客創造の方策を顧客満足の仕組みとして構築し、イノベーションによって製品・サービスやコスト削減機会を追求できることを体系化した。

顧客満足研究は、満足概念の研究のアプローチとして顧客の購買体験をもとにして形成される態度、感情として製品やサービスの供給を受ける際のすべての状況的要因が満足感の形成に影響を与える要因であると考えられた。

マーケティング研究において、顧客満足の意義は顧客の再購買率を高める事を目的とした。顧客維持戦略として顧客ロイヤルティの指標としての研究に関心が注がれてきた。

アメリカにおいて80年代から次々に実施された航空業、金融業、電信電話などのサービス分野における規制緩和の動きは、業界の競争を激化させ、顧客満足を顧客維持に発展させるサービス研究が実務界からの要請に対し、サービス・マーケティング研究の研究成果が次々に発表されることとなった。

アメリカは、国家戦略として国家品質賞を創設し、国家レベルにおいても顧客満足の追求に取り組むことで実務界や、理論的研究も一層成果をあげることとなった。

わが国において、顧客満足研究がなかなか発達しなかった理由として、国家的戦略レベルにまで顧客の創造、維持、育成を捉えていなかったことがある。顧客の創造、維持、育成は企業ごとの個別問題として捉えられている。

アメリカとわが国を比較すればわが国では実務界が経営活動に専念し、企業外部に研究を求めるという文化が育っていないこともあげられる。

研究者の多くは、国、地方の公務員でもあり私学においても実務上の問題は研究の対象になりにくく、顧客満足研究に対して、実務界での経営活動に対する研究支援のモデルは確立されていない。

このように理論的研究と実践的検証が顧客満足研究を顧客の存在する現場から遠くし、研究がアメリカに比べ、遅れている要因であると指摘できる。かかる現状からすれば顧客満足研究を進展させ実務界への研究成果の導入が急がれることとなる。

実務界での顧客満足経営を実践上から研究し、「理論と実践の発展」に尽くしたいと考える。

出所

2003年3月 松葉博雄 修士論文
「良循環経営に関する学際的研究」 ~顧客満足経営におけるService Profit Chainの構築~
【第1章 顧客満足経営の展開、生成と歴史】より抜粋



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