インド巡礼記:インド マハラジャの経営する王宮での価格交渉、インドの商人との交渉は根気と粘りが必要です 第23話

インド巡礼記:真理を求めて インドに、インドに真理を求めて、インド巡礼に行きたい、こう思ったのも、家庭を築き、仕事に精を出し、人生も順調に歩んでる時、ふと心の中に、「これで良いのかな?何か大事な事を忘れていないかな?成る程と腑に落ちる様な真理を理解できてるのかな?」このように、ふとした疑問がどんどん膨らんできたからです。インド巡礼は、真理を求める巡礼の旅になるはずです。 【その22】

インド巡礼記

インドの現地のツアー代理店のお小遣い稼ぎのために、お土産を買ってもらうための臨時バスが出ることになります。連れて行ったお客さんが、そのお店で買った何%か、何十%かのバックマージンが臨時バスのお小遣いとなります。

目的地は、この地方の豪族(マハラジャ)が経営する店です。インド絨毯の良品質のものがたくさんあるというふれこみです。バスが着いた所は、お店というよりは宮殿のような白い大理石の建物で、建物は王宮のようで、ふらりと訪ねて入られるようなお店ではありません。

床は全て大理石で磨いています。1階の建物の左のパレスには、絨毯が並べられています。右のパレスには、その他のインドの物産を並べています。

シルク製の絨毯は輝きが綺麗で、光線が変わると、絨毯の色が変わって見えます。用途としては、絨毯よりも、壁掛けにしたらきっと良いだろうと思います。サイズは80センチ×120センチぐらいで、お値段は19万円です。

今、お金がなくても、ここで注文して、全額の25%の頭金を払えば、残額は日本で受け取る時に払ってもいいそうです。どうしようかと考えたけれど、この絨毯は、あればいいけれど、なくてもいいと考えてやめました。

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絨毯の他に、ペインティングに興味が湧いてきました。

インドの昔の歴史を伝えるような内容の画材です。

和紙のような柔らかい、やや厚みのある紙を使い、描いています。もともとは本の表紙だったのでしょうか。

版画なのか、手描きなのかで、値打ちが変わってきます。一つ一つを手に取り、丹念に見てみると、一枚一枚を描いた絵のようです。

これを額に入れて、部屋に飾れば、きっときれいだと思います。中には、高価な絵ですが、象牙の板に、絵を描いたものもありました。これは騰いです。

たくさんの絵を見ていると、対応していたインドの人は、全部買わなくても、お金を払えば、絵の写真は写させてあげるから、その代わり、1枚撮るのには自分にガスライター1個くれたらいいよと、お小遣いをせびりにきます。

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いろいろな絵の中で、私は昔の王様(マハラジャ)が、インドの虎狩りをしている構図の絵を1枚選びました。値段は125ドルということです。

松葉博雄の交渉は、「ディスカウント、ディスカウント」と言いながら、だんだん値段を下げるように求めます。

インドでの値切り交渉は、とても根気が必要です。なにしろ、インドのお店の人は、時間を十分に使って、別にすぐに売れなくても、できるだけ高く売れれば、時間のことなど気にしていません。

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それでもなんとか、粘って、125ドルの始めの値段を、100ドルに下げました。もっと、もっと、下がるはずです。しかし、この価格交渉はなかなか時間のかかる交渉です。

これも、バス会社との連携があり、そろそろ帰る頃ですと、焦らせます。とうとう時間がなくなり、仕方がないので、時間よりも二度とこの絵を買う機会はないと思い、チャンスの方を選び、写真の3枚の絵を100ドルで買うことにしました。

買った絵を紙に包んでもらい、階段を降りていく時に振り返ってみれば、先ほどのマネージャーと担当者は、手を取り合って抱き合って喜んでいました。

「あ、しまった!」と思いました。彼らは、あの絵を松葉博雄に100ドルで売ったことで、大喜びしているのです。

「しまった」と、思ってももうダメです。ネガティブな考え方から、ポジティブな考え方に、考えを変えてみました。

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もし、仮に10年経って、もう一度ここに来て、あの絵を買うことができるだろうか、と自分自身を慰めました。ここまで来るには、たくさんの仲介の人たちの利益やコストが含まれているので、これも払える人が負担するのは、仕方がないと、悔しがる自分に言って聞かせませした。

ホテルに帰ると昼食です。昼食が終わると、ホテルの売店でも、先ほどのマハラジャの店と同じ様な絵を売っているので見てみました。

尋ねてみると、1枚が40ルピーということです。値段の妥当性を確かめる為に、4枚で100ルピーにするように交渉してみると、4枚は150ルピーにまですると言います。

100ルピーにしてガスライター1個をプラスしたらどうかと提案してみました。相手の方はダメだと言います。だったら100ルピーで3枚はどうかということにしました。それだと彼も折り合ってきました。

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奥村氏がやってきて、自分も欲しいと選んでいると、このお店の主人が帰ってきて、この絵そんな値段で売ってはダメだと従業員を叱り、私にお金を返しかけてきました。私はもう買ったということなのでさっと引き下がりました。これも、インドなら店主のポーズでしょうか、わからなくなります。

本当に、店主は取り返そうとしたのでしょうか、あの値段で売るのは、惜しかったのでしょうか。インドに来て、学んだことは、この商売上手さです。

奥村氏が後からやってきて言うには、もう、松葉博雄の買った後は、他のお客さんには値段をまけなくなったそうで、奥村氏も値引き交渉を諦めて、帰ってきたということです。

どうも駆け引きはどっちがほんとだったのでしょうか。このような世俗の事に熱中しているようでは、まだまだ、インドでの松葉博雄の真理の探究は、遠い問題のように思える一日でした。