インド巡礼記:インドのお正月~ベナレス市内の寺院巡り~ 第17話

インド巡礼記:真理を求めて インドに、インドに真理を求めて、インド巡礼に行きたい、こう思ったのも、家庭を築き、仕事に精を出し、人生も順調に歩んでる時、ふと心の中に、「これで良いのかな?何か大事な事を忘れていないかな?成る程と腑に落ちる様な真理を理解できてるのかな?」このように、ふとした疑問がどんどん膨らんできたからです。インド巡礼は、真理を求める巡礼の旅になるはずです。 【その17】

1月1日日曜日

今日はインドで過ごすお正月です。今日の予定はベナレス市内の寺院巡りです。

昨夜は、日本にいれば除夜の鐘を聞きながら、108の煩悩を消滅させ、新しいまっ更な気持ちで新年を迎えることになります。

平穏な年の瀬の越し方ではなく、昨日はブッダの教えに基づいた「幸せ」について考えて、その後、旅行の同行者と夜遅くまで、人生の行き方について、様々な意見の交換をしながら、新しい年の日付である深夜12時を越えました。

インド巡礼記

ここまで一緒に旅をしてきた仲間意識から、少しずつ個人の事情や求めていることを話し始めました。

少しずつ遠慮がちに話している中で、時間が経てば、話しの核心に収斂していく内容は、ずばり、男女の渇愛の問題です。

人の悩みの中心に、渇愛があります。渇愛が源となり、執着を生みます。執着が生まれると、とても厄介なことになります。自分自身をコントロールできなくなり、欲望に振り回される危険な状態になります。

恋に身を焼くことは、執着となります。人を好きで好きで仕方が無い、どうしようもうない、全てを捨ててでもあの人の所に行きたい、、、と思わせるのは、渇愛であり、執着です。

この渇愛が人の苦しみの中心にあります。蒸気機関車で言えば、石炭のようなものです。この燃え盛る煩悩のエネルギーの元が、人が持つ渇愛です。この渇愛から生ずる様々な苦しみにどのように対処したらいいのか、わからないのが私たちの人生です。

ブッダは、これに対し、苦しみの源を探し出し、そこから生ずる苦しみに対して、いくつかの処方箋を出しました。しかし、執着を断ち切るための処方箋どおりに、人は生きていけるかどうかは、そんな単純なものではありません。

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だからこそ執着により、不倫関係になったり、恋する人のためなら何かを捨ててでもと、もっと苦しみを複雑にしてしまうものなのです。

このような、苦しみの源は執着にある、という単純な原因をブッダは指摘したものの、果たして、それが実践できるかどうかは、心の修行次第となります。

しかし、日本にいても、悠久の大地のインドに来てみても、何千年も前から苦しみの生ずるところと、滅するところの問題は、今日も昔のまま続いています。

昨夜はこんなようなことを感じながら、奥山氏を取り巻く五木さん、松尾さん、細目ちゃんの3人の若い女性の思惑を、4人の心を読み取るように、話しを聞いていました。

なるほど、ブッダが私たちに教えてくれたことを男女の駆け引きの下敷きにして話しを聞いていると、よく理解できました。

お正月といえば、初詣となりますが、ちょうどお正月らしく、今朝の巡礼は、ベナレスの大学とお猿のいるヒンズー教のお寺、インド全図を描いたお寺を巡りました。

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ベナレス大学は個人の財産と土地の寄付で建てられ、学費は無料で全寮制ということですが、生徒は1万人もいるそうです。

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ベナレス大学の中に、ヒンドゥー教の寺院があります。

白くて高い塔と下層のピンクの壁が印象的なヴィシュワナート寺院です。

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中に靴を脱いで入ると、ひんやりして冷たい感じです。

聖なる川、ガンジス川を汲んで、一滴一滴を落とし、これを参拝者の額に濡らして恵みを与えています。

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正面に鎮座したヒンドゥー教の守護神には、花輪や花束をお供えし、お祭をしています。

ヒンドゥー教の多くの神々を見ていると、仏教の中の密教に取り入れられたような、千手観音のような、日本のどこかの寺院で見たような像がありました。

2階には、太鼓を座って叩く老人がいて、2つの小さな太鼓をリズムをとってうっています。

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この寺院の雰囲気とよく似合っています。

ヒゲを生やした太鼓を叩く老人は、私の顔を見ると、にっこりと笑いながら両手の指で二つの太鼓を、音を高く叩いては、低く沈めるような音に変えたり、伸びるような長い音色に変えたり、見事なほどの太鼓の音を聞かせてくれました。

きっと、子供のときから、もう50年以上はこの太鼓一筋に生きてきた人だと、直感的に感じました。私は、立ち止まって、お金を置いて、しばらくこの楽士の叩く太鼓の音色に耳を傾けていました。

楽士は、私がおひねりをたくさん出したので、仲間をもう1人連れてきて、多重演奏を聞かせてくれました。このインドでは、一つの芸を極め、その芸を生きる糧として、大道芸人として生きている人が、人の集まるところには多く見られます。

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その中でも、良い席を確保するには、きっとそれなりの秩序があるはずです。

この寺院で毛氈をひいて、太鼓を叩けるようになるには、多くの難問をクリアして、今日この席で私に太鼓の音を、笑うようにも、泣くようにも、訴えるようにも、引き込むようにも、様々なテクニックを駆使して、たった一つの太鼓の音だけで、いくつもの、まるで話すような音の世界を聞かせてくれました。

日本にも、演芸で名を成した人を、テレビで見ることがあります。古典芸能の場合や、伝統芸能の場合、文化庁から重要無形文化財(人間国宝)の指定を受けることがあります。

今日のこの太鼓の道を究めたような楽士は、相当な芸域と高い水準を持っているように思えますが、これがインドでは大道芸人で生活しているのです。

この高い水準の芸術とも言える太鼓叩きの老人のこれまでの人生について、もし言葉がわかるものなら、もっと聞いてみたいと思いながら、太鼓の音を少しずつ離れて、その場を去っていきました。

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次の部屋に行くと、仏教、ヒンズー、バラモン、イスラム、ゾロアスター教などたくさんの宗教が混在し、その相互関係がはっきりしないところがあります。

画面中央にブッタ、左にバラモン、右にヒンズーと並んでいる絵もあります。まるで宗教のデパートのようです。

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ヒンドゥー教から始まった仏教は、その後、インドで大きく広がりを持ちましたが、その後、再びヒンドゥー教の中に吸収されて、今ではインドの大地では、小さな存在におさまってしまっています。

ヒンドゥー教には、不可蝕賎民(アンタッチャブル)と言われる被差別の人たちの階層があります。このカースト制度を仏教は認めませんでした。

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ドゥルガーは破壊神・シヴァの妻です。

妻としてパールヴァティーという女神にもなり、また、生首を持って赤い舌を出し血の生贄を求めるドゥルガーという神にもなるという、2つの顔を持っています。

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この寺院の壁や柱は真っ赤です。そして、別名・猿寺と呼ばれているように、猿がたくさんいます。

ヒンドゥー教徒以外は境内には入れないため、回廊になっている2階から下の境内を見下ろすだけの観光でした。

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バラト・マーター寺院は、「母なるインドの大地に捧げられた寺院」という意味です。

ここには、白い大理石で作られたインドの巨大立体地図があります。ヒマラヤ山脈、デカン高原が見事に彫られていて、見ていて飽きません。

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ホテルに戻ってプールサイドで日光浴をしていると、庭の手入れをしているインドのおじさんがいました。この人に、知ってるかぎりの英語を使って最近の状況を聞いてみました。

「もうかりまっか?」「まぁまぁでんなぁ」といったような内容でした。

おじさんと話をしていると、奥山氏がやってきて、彼も話の輪に入ってきました。私と奥山氏の話が弾んでくると、インドのおじさんはどこかに行ってしまいました。

奥山氏の勤める住宅販売会社で、彼は8年勤務していて、もうすこしで万年平社員か、幹部社員に行けるかの分かれ目であるようです。

なぜ、幹部社員を目指して進まないのかといえば、奥山氏自身が、自分の気持ちの整理が出来ていないからです。

もし上を目指して仕事に取り組んでいれば、もう1人の自分が、奥山氏の仕事振りを批判し、「やめとけ、やめとけ、お前らしくない」と、ささやきます。

仕事に集中しない奥山氏には、もう一人の自分が出てきて、「一生懸命仕事に取り組まないと、競争に負けて、ここにいずらくなるよ」と、ささやきます。

この二つの矛盾するささやきを一つにまとめない限りは、奥山氏は二つのささやきに翻弄され続けるはずです。

彼と話していると、今まで言ってたことが途中から否定に変わることがあります。いつまでもどっちつかずとは、結局自分の進むべき道が自分で決められていないからです。

今なら、実家が小さな商売でもしていたら、迷わず戻ってサラリーマンを辞めると彼は言っています。しかし、こんな甘い考えでは、実家の商売がうまくいくとは思えません。

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昼の食事はまたセルフバイキングでしたので、私は持ってきたお米のパックを温めて食べました。

インドのホテルは、長らくインドを植民地支配していたイギリスの強い影響を受け、ヨーロッパ風の建築様式で、ガーデンもイギリス式のコンチネンタル様式でした。

この後、午後から今回の巡礼の中で、重要なブッダの初転法輪の地へと進みます。その前に、ブッダが苦悩して修行し、悟りを開いた部分について概略をおさらいしておきます。



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