インド巡礼記:カルカッタ編 その6~カルカッタ駅周辺を散策する~ 第10話

インド巡礼記:真理を求めて インドに、インドに真理を求めて、インド巡礼に行きたい、こう思ったのも、家庭を築き、仕事に精を出し、人生も順調に歩んでる時、ふと心の中に、「これで良いのかな?何か大事な事を忘れていないかな?成る程と腑に落ちる様な真理を理解できてるのかな?」このように、ふとした疑問がどんどん膨らんできたからです。インド巡礼は、真理を求める巡礼の旅になるはずです。 【その10】

インド巡礼記

カルカッタの夕日を浴びて、センチメンタルな気持ちになった後、つかの間の静寂からまた喧騒と騒音の街中へバスは戻り、その行く先は今朝出発したホテルです。

なんのためにホテルに行ったのかというと、これから夜行列車に乗る予定ですが、インドの夜行列車には食堂車がありません。

各自が自分で食事の用意をして長時間の列車に乗り込んでいます。私たちの今夜の夜食はホテルで用意してもらったインド風のお弁当です。このお弁当を受け取ったあと、バスは駅に向かいます。

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駅へ向かう道は夕方の家に帰る人たちのものすごい人波でごったがえっています。カルカッタの帰宅時間はものすごいラッシュアワーです。

大きな鉄橋を渡ります。今日は5分もかからないでわたれましたが、普段ラッシュにかかるとこの橋を一つ渡るだけでも3時間もかかるそうです。これがインドです。

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予定よりも早くバスは駅に着いたおかげで、少し出発時間までの余裕の時間ができました。そこで、アーナンダ氏は少し自由行動の時間を設定しました。

私と奥山氏とが、駅の周りを散策してみようということになりました。奥山君は五木さんを誘い、3人で駅前の人ごみのなかを歩いてみました。

五木さんが喉が渇いたと甘えて言うので、彼氏役の奥山氏がそれなら椰子の実ジュースを飲もうと提案しています。一つのジュースを二つのストローで飲んでラブラブ気分になるのでしょうか。

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道端で椰子の実が一個1.5ルピーで売られていました。1ルピーは約25円ですから、40円くらいでしょうか。インドの物価にしてはえらく高いなあと思い、買ったあとで気が付いたのですが、現地の人が買っている様子を見ると1個1ルピーでお釣りをもらっています。

やられた~。やはり私たちは観光客だったのです。インドでは、一つ一つ一回ごと物価を確認しながら買わないと、いつの間にか観光客価格で買わされてしまうのです。

もう夕方ぐらいから、道端で布をかぶって寝ている人がいます。30人ほどの、その辺にある物を身につけたような姿の一団が一箇所に固まっています。まるで難民のようですが、何かを話し合っています。

少し気になったので片言の英語で話しかけ、説明を聞くと、ヒンドゥー教の巡礼の一行だと思うと言われました。これから列車に乗り巡礼に行くということでしょう。

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駅の前では、食料品を売っている店が多く、トマト、きゅうり、りんご、豆など、亭主が買い物をして家に持って帰っているようです。全て道端でしゃがんで売っているので、ショーケースや埃よけの用意はされていません。

もう見ているととにかく人、人、人、カルカッタの街は人で溢れかえっています。

路上生活者は道端でご飯の用意をしています。少ししっかりした建物とか囲いの下では人が寝込んでいます。

路上生活者は住民登録がされるわけではないので、いったいどのぐらいの人が路上で生活しているかすら、わからないようです。

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駅の前のバルコニーから通りを見ると、白いもやのような空気に包まれ、初めこれは夜霧かと思っていました。

しかし、白い原因は霧ではなくて、もや、ほこりのようなものが街灯に照らされて霧のように白く見えたのです。

多分夕方の食事のための燃料なのか、石炭を焚いた煙も混ざり、埃と混ざり、喉が痛くなります。目も痛くなります。これは、たまらない空気です。

通りを見ていると、街路には車が溢れ、人と自転車、リキシャなどが混在して、狭い道ではギリギリの隙間しかなく、もう少しで車に人が当たりそうです。

旅行中にこんなところで交通事故でも起こしたら大変です。気をつけて歩きました。

そうやって駅の周辺を歩いて見ているうちに、少し時間に手間取ってしまい、駅に戻る時間の予定を越えてしましました。

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現地のガイドのアーナンダ氏はよく私に話しかけてきます。彼の話では、来年は日本に行くという予定だそうです。

日本語が流暢なので、何度か日本とインドを行き来しているとは思います。

待合室は2階にあり、1階の大勢の人並みの喧騒からは逃れていますが、みな辛抱強く時間を待っています。

子供をあやしている母親、布団を敷いて寝ている人、少しなにか体臭的な臭いも感じます。

カルカッタの駅は人と埃、汚れた空気、多様な臭いが混じり合い、出発までの駅の待合室の中にもこれがインドと感じるような光景をじっくり見ていました。

いよいよ列車の方へ移動します。